
中世ヨーロッパ風の異世界が漫画やアニメなどで出てくる時、「中世とは何か?」「史実での中世がどんな時代だった」と気になったりしませんか?
そんな疑問を当記事は徹底的に解説します!
歴史が苦手な人でもわかりやすく解説するので、気軽にご覧ください!
記事からわかること
- 中世ヨーロッパがいつからいつまでなのか?
- 中世ヨーロッパはどのような時代だったのか?
- 中世ヨーロッパの特徴と暮らしとは?
Contents
中世ヨーロッパはいつからいつまで?
中世ヨーロッパは、一般的に「西ローマ帝国の崩壊(476年)」から「大航海時代の始まり(15世紀末)」までを指す。
およそ1000年間という長いスパンで、「中世」は存在し、「古代」と「ルネサンス・近世」の間を埋めることになる時代。
なぜ、この区切り方なのか?
その理由は「古代」と「ルネサンス・近世」の間でヨーロッパ社会が大きく変化したからである。
古代ローマが滅んだことで、大都市文明が失われ、人々は小さな村や領地に分かれて暮らすようになった。
これが、地方の有力者が権力を持つようになる土台となり、封建制度が成り立つようになっていったことでもある。
そして、キリスト教が精神的な支柱となることで、社会をまとめ上げ、封建制度による王国が誕生することとなる。
やがて15世紀末になると、ペストや戦争を乗り越えてたヨーロッパが、ヨーロッパ外の世界へ進出し、大航海時代の幕開けとなった。
「中世」の1000年は「初期・盛期・後期」の3つに分けて考えると理解しやすい。
中世初期は混乱と生存競争、中世盛期には繁栄と安定、中世後期では危機と改革。
異世界系アニメやファンタジー作品ではよく「黄金期の中世盛期」が舞台になることが多い。
だから「中世ヨーロッパはいつからいつまで?」という問いに対する答えは、歴史的には「西ローマ帝国の崩壊(476年)〜大航海時代の始まり(15世紀末)まで」となる。
「中世」という時代は「約1000年もの続いた一つの長編ストーリー」として捉えて考えれば、創作に役立つこと間違いなし。
中世ヨーロッパはどんな時代?
アニメやゲームでよくみる「王国」「騎士」「魔法学校」といった舞台設定は、この中世の世界観を元にして描かれていることが多い。
というのも、この時代は古代ローマ帝国が崩壊した後の混乱から始まり、封建制度とカトリック教会による安定期がある。
その一方で、ペストや戦争による崩壊を経て、古代への復帰となる運動《ルネサンス》や近世へと移るという、ドラマチックな流れを持っているから。
例えば、中世初期のイメージははまるで「文明がリセットされたか異世界転移直後」のような雰囲気。
自給自足は当たり前の中で、力が全ての中でいかに生き残るかが重要とされる時期とされた。
中世盛期は「騎士と城が輝く黄金時代」である。
ここでは良くも悪くも封建制度による紛争が絶えない一方、上手く立ち回れば領主としてなることもできる時期。
とはいえ、資源が乏しい中では貴族といえども楽ではなく、出費が嵩むこともしばしば。
中世後期は「破滅の予兆と新時代への胎動」。
ペストによる感染病で、死は日常となる反面、あらゆる点で変化が激しくなった。
フルプレートアーマーのような全身武装が可能になる反面、場所によっては火薬という兵器で戦場は変化しつつあった時期。
そんな中世ヨーロッパはこうして見ていくと、ただの歴史ではなく、ファンタジー三部作のように感じられるはず。
だからこそ、中世ヨーロッパを知ることは単なる勉強ではなく、自分の創作活動における「設定資料集」を手に入れられることと同じ。
異世界ファンタジーを描く上で、最強のインスピレーション源にきっとなる。
なぜ『暗黒時代』と呼ばれたのか?
よく”中世ヨーロッパ=暗黒時代”と呼ばれることがある。
ただ、これは「衰退し尽くした終焉世界のような真っ暗な時代」ではなく、「古代時代と比較して記録や発展が少ない」というニュアンス。
事実、ローマ帝国時代に存在した水道橋や大浴場、舗装道路といったインフラが維持されていたのが、中世にはそのほとんどが崩壊した。
都市は衰退し、自給自足の農村が広がり、教育も一時的に後退し、読み書きできるのは一部の貴族や教会関係者だけになっていった。
学問や技術は一時的に停止したのが、中世初期の時代。
しかし、「衰退し尽くした暗黒の時代」だったわけではなく、教会が古代の書物を写本して守り続け、キリスト教の文化が中心となって人々をつなげたりした。
このように、知識の火種は消えずに残り、古代への復帰運動としてのルネサンスが一部の地域で花開くことになった。
ファンタジー作品に例えるのなら「古代文明が滅び、遺跡だけが残る世界」に近い。
だから、暗黒時代は創作において「失われた文明と新しい世界の狭間」という魅力的な面白い舞台設定の参考となる。
初期・盛期・後期に分けて見る
初期(5〜10世紀)
中世初期は文明がリセットされた混乱と再出発の時代だった。
西ローマ帝国が崩壊した後、広大な帝国の秩序がなくなり、各地で戦乱や民族の大移動が相次いだ。
特に交易や都市文明が大きく失われ、人々は農村中心の暮らしに戻り、自給自足の生活を送るようになる。
そんな中でヴァイキングが海から襲来しては略奪され、人々は不安定な生活を余儀なくされた。
これは異世界系作品ではよくある、主人公が「無法地帯」に転生して、ゼロから世界を作り出す…そんな雰囲気を持っている時代。
盛期(11〜13世紀)
中世盛期は安定と繁栄の時代。
封建制度が確立たことで安定になり、農業生産も増え、都市や商業が発展して、国王や貴族、騎士が社会を支配した時代。
教会は人々の精神的な支柱となり、十字軍遠征による東方との接触で文化的な交流が促され、学問も発展し大学の誕生などの文化的発展も大きく進んだ。
まさに、ファンタジーの舞台のモデルそのもの。
城と騎士、魔法学園のような大学、そして教会による支配。
ほとんどの異世界作品がこの中世盛期のイメージがベースとしてある。
後期(13〜15世紀)
中世後期は危機と変革の時代。
黒死病(ペスト)が猛威を振るい、人口が激減した。
百年戦争や内乱も重なり、ヨーロッパ各地が荒れながら封建制度が徐々に揺らいでいく。
しかし、同時に商業や都市が成長し、大航海時代に向けた力が蓄えられていき、ルネサンスなどに繋がっていくようになる。
物語的に言えば「崩壊から始まり、再出発を目指す新時代の始まり」が同時進行するようなイメージとなる。
悲劇と希望が共存する、非常に劇的な舞台となる時代。
中世ヨーロッパの暮らしと特徴
中世ヨーロッパの生活は、封建制度とキリスト教に大きく左右されていた。
人々は土地を持つ領主の下で暮らし、農民は領主の土地で労働を行い、収穫の一部を税として納めていた。
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領主である貴族は城にある屋敷に住み、騎士を従えて戦い、権力を守った。
教会は宗教的権威を持ち、日常の道徳から死後の救いまで人々を導いた。
暮らしは身分によって大きく変化した。
特に農民は麦や野菜を育ててパンやスープを食べて、粗末な家で質素な暮らしを送った。
一方で貴族は、肉やワインを楽しみ、豪華な衣装を身に纏い、華やかな宴を開いていた。
こうした社会構造はRPGの「王国と城下町」「冒険者ギルド」「身分制度」にそのままイメージが引き継がれている。
つまり、中世ヨーロッパを知ることは、創作において「世界観のリアリティ」を作るための武器にもなるのである。
騎士と教会の力
中世と聞いてパッと思い浮かべるのは「剣」と「十字架」。
つまり、軍事力を担った類稀なる騎士と精神的権威を持った教会を思いつく人は多い。
それぐらい、当時の世界観では印象の強い両者であるが、その実態は以下のようなものだった。
騎士は領主に仕えて土地や報酬を受け取る代わりに、領主のために戦い、忠誠を尽くした。
このような中で騎士道という理想も生まれ、勇気や忠義、女性への礼節が重んじられた。
一方、教会は「神の代理人」としてヨーロッパ全土に影響力を持った。
異端審問で思想を取り締まり、十字軍を結成して戦争すら主導していった。
アニメやゲームなどで、よくみる「教会勢力」や「神殿の権威」はこの時代の反映であることが多々ある。
つまり、中世ヨーロッパの二大権力「騎士と教会」を抑えると、創作でも骨太な設定が作れるようになる。
中世の戦争と危機
中世ヨーロッパは戦争と危機の時代だった。
領土や王位継承をめぐる戦争、宗教対立、そして疫病。
これらが社会を大きく揺さぶった。
例えば、聖地を奪還するためにヨーロッパ中の騎士たちが動員され、異世界遠征のような大規模イベントとなった、十字軍遠征がある。
さらに、フランスとイギリスが100年争った百年戦争などもある。
そして、中世最大の脅威にして危機とされたのが、黒死病(ペスト)。
人口の3分の1の命を奪ったこの疫病は、当時の人々の価値観を変え、封建制度を揺るがした。
特に、身分に関わらず『死は皆、平等』的な思想は強く印象づけられ、この時代の芸術にはたびたび”死”が描かれていることが多い。
これらの歴史は、そのままファンタジー作品の「大戦争」「世界崩壊」「英雄伝説」のテンプレートとして使われる。
特に、ジャンヌダルクの神による啓示で、故国を救うのはまさに、物語の序盤で異世界転生した主人公が無双する流れに近い印象がある。
中世ヨーロッパと日本・中国を比べて
同じ時期でも、日本・中国は全く違う歴史があった。
ヨーロッパでは封建制度の下、領主と騎士が支配する社会が続いていた。
そんな中で、日本は鎌倉・室町じだいで、武士が主役の封建社会を築いていた。
武士と騎士は似ているようで違い、武士は主君への忠義より「一族」や「家」を重んじる傾向があった。
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中国では、隋・唐・宋・元・明と大王朝が交代し、中央集権的な体制が維持されていった。
ここでも文化や技術は大きく発展した。
こうした比較は、異世界創作で「もし日本型の中世だったら?」「中国型だったら?」というIFストーリーを考えるヒントになる。
現代に残る中世の遺産
中世は単なる過去の時代ではなく、今の社会の基盤となった様々なものを作った。
大学制度は中世の学問組織から始まり、議会制度もこの時代に芽生えた。
貨幣経済や商業も発展し、現代社会に直結していく。
例えば、オックスフォード大学やパリ大学は中世から続く歴史を持ち、現代でも世界最高峰の学問の場でもある。
議会制民主主義の発芽も中世イングランドで見られる。
つまり、中世ヨーロッパを学ぶことは、ファンタジーの参考になるだけでなく、現代社会を深く理解することにもつながる。
まとめ:中世ヨーロッパをどう創作に活かす?
中世ヨーロッパは「1000年の長大なストーリー」として、暗黒・黄金期・崩壊という三部構成を備えた時代。
その理由は、古代世界が崩壊し、消え去った。
そんな中で再び、立ち上がり秩序を形成していった。
この過程で生まれた騎士道、教会の権力、大学や都市などの要素は現代のファンタジー作品の基本的なものになっている。
しかし、そんな安定な時代は長くは続かず、疫病によって徐々に崩壊していき、最終的には、終わりを迎えることになる。
異世界アニメやゲームがこぞって中世を舞台にするのは、そんな劇的な歴史構造があるからかもしれない。
だから、今読んで下っているあなたがもし作品を作るのであれば、この歴史を「テンプレート」として使ってみてはどうでしょう?
中世ヨーロッパは、あなたの創作の舞台を壮大に彩るための宝箱なので、調べればきっと気に入る歴史が見つかるかもしれない。