記事からわかること
- ファンタジー世界における「お金」とは?
- 通貨の信頼性とその重要性
- 社会に多大な影響力を持つ「お金の力」
古今東西、「お金」というのは貴重とされ、歴史上「お金」をめぐって人々が争ったことは数知れない。
そして、それは現実世界に限った話ではなく、ファンタジー世界の中も同じこと。
だが、クリエイターの中には「ファンタジー世界のお金」をどのように設定するべきなのか、「お金」が生み出す経済が難しくわからなくて悩んでいる人も多い!
そこで今回は、そんな「お金」に関するあれこれを【ファンタジー経済学】としてまとめ、シリーズ形式で解説して行く!!
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では、早速解説していこう!!
ファンタジー世界における「お金」とは?
そもそも「お金」に厳密な形はなく、以下の3つの要素を含んでいれば「お金」と言える。
- 交換機能
- 価値保存機能
- 価値尺度機能
そして、これらの3つの機能があり、かつわかりやすい例が「金貨・銀貨・銅貨」の貨幣だ。
この貨幣はファンタジーでもよく使われるのはこうした前提条件が簡単にクリアできてしまうからだ。
では、金貨・銀貨・銅貨はどのようにしてこの3つの要素をクリアするのか解説してみようと思う。
交換機能
金貨・銀貨・銅貨には常に含有する貴金属の量と質によって価値が担保されているために、人々は同価値のものを金貨・銀貨・銅貨に一時的に変えて価値を保存する。
そして、逆に欲しいものがあった場合にはそれらを交換することで一方は価値を貯めることができ、もう一方は価値に見合った物を得ることができる。
価値保存機能
金貨・銀貨・銅貨というのは金属であるために、一般的な物のように腐ることはほぼない。
加えて、各貨幣には貴金属が含まれているために、価値が常に担保された状態にある。
故に担保された価値が何かしらの影響によって崩されない限り、長らく放置したとしてもその価値が下がるようなことは起こり得ない。
価値尺度機能
金貨・銀貨・銅貨には名前の通り、金・銀・銅が含まれてできている。
そういった貨幣の持つ価値というのは貨幣に含まれる金属の量や質または、それぞれの金属が持つ希少性や加工性、派手さなどによって決まることがある。
そのため、一般的に「金貨>銀貨>銅貨」という順番で貨幣の価値が決まる事になる。
だが、金が沢山採れる国では、金よりも銀の方が価値が高いこともある。
これは、金の希少性が損なわれることで起こり得るものである。
故に金貨・銀貨・銅貨における価値尺度機能というのは、100gの金で作られた金貨の価値=100円(1g=1円として計算)の価値があると決める機能のことを指す。
こうした動きが金貨・銀貨・銅貨、それぞれに価値を与えおり、その価値を担保に人々は物の受け渡しが可能となっている。
さて、そうした中で金貨・銀貨・銅貨は「お金」となるわけだが、「お金」にはもう1つの重要な要素がある。
それは価値を担保する「信頼性」だ。
なぜ、貴金属が使用されるのか?
貨幣には必ず貴金属が使われる理由。
それは貴金属が人々に与える信頼性が常に一定であるためだ。
例えば、人は金を見たときに綺麗や神々しいなどの感情を覚えるだろう。
そういった感情を原動力に人々は金に魅了され、いつしか金には価値があると思うようになる。
実際、金貨は1000年放置されたとしても腐ることはなく、その輝きも失うことは少ない。
そのため、金貨というのは“消えることない価値”を形にした貨幣と位置付けることができる。
この“人々を魅了する”部分と“消えない価値”が合わさり、人々は金貨に対して誰もが欲しがるが故に信頼を寄せるようになる。
しかし、貴金属を使った貨幣には致命的とも思える問題がある。
それは貴金属を使うが故に、量が限られてしまうことだ。
そこで誕生したのが、貴金属に頼らない信頼という価値の付与だが、これには国家単位の絶対的な信頼が常に必要になってくる。
ファンタジー世界には軍事力最強の国家が出たりすることもあるため、そうした国が作ったというある種のブランドは信頼あるものとして価値が認められることがある。
とはいえ、中世ヨーロッパ風の世界には難しい話であることは間違いない。
なぜなら、中世の時代において国が長らく存続できたのは稀であり、基本滅亡しては栄え、そしてまた滅亡へというサイクルが繰り返された時代だからだ。
いつ、滅亡するかもわからない国の信頼など人々にとっては無価値も同じ。
ならば、貨幣の持つ貴金属としての価値の方がもっと重要なのだ。
「お金」の持つ社会への影響力
さて、ここまで「お金」について話してきたが、「お金」には社会に多大な影響を及ぼしうる力が存在する。
例えば、戦争に勝つ力もその1つだ。
戦争は常に「お金」を必要とするが「お金」のある国とない国との戦いではある国の方が勝利するのは目に見えてわかるだろう。
また、他にも賄賂が挙げられる。
賄賂よって貴族などを懐柔し政治を操ることもできるれば、物資を買い占めることも可能だ。
よって、「お金」は良くも悪くも力を与えるためにその影響力は凄まじく、その力に身を滅ぼしたものも多くいる。
ただ、その力をうまいこと使うことができれば、ファンタジー世界の滅亡寸前の小さな国だろうとも立ち所に栄えさせ、国を立て直すなんてことも可能だ。
まとめ
ファンタジー世界における「お金」というのは、「交換機能、価値保存機能、価値尺度機能」の3つを揃えていれば、「お金」として社会に流通させることができる。
通貨の信頼性はファンタジー社会の根幹。
信頼よりも物の方が価値が高い中世ファンタジーでは、物の価値は非常に重要で「物の価値=信頼」という図式が表現できるくらい密接な物だった。
そのため、貨幣の中にある金属比率を変えようとすれば市民が怒り狂うこともあったのはこういった背景があったからこそ。
また、「お金」はどこの世界でも力を持つ。
よって、お金持ちキャラが世界を裏で動かす闇の支配者である設定というのは、「お金の力」が社会に与える影響が大きく、彼らを支配することが非常に難しいからだ。