Contents
この記事からわかること
- 中世ヨーロッパの印刷事情
- グーテンベルクの活版印刷
- 活版印刷がもたらした革新
中世ヨーロッパの印刷事情とは?
6世紀〜15世紀にかけて、中世ヨーロッパにおいては印刷技術が存在せず、「写本」が一般的であった。
しかし「写本」はコストが高かったため、当時において知識を広めることは非常に困難だった。
当時の「写本」というのは数少ない専門の書写者によって手作業で作成されるため、完成された書物は大変貴重なものだった。
事実、そのような貴重な書物を手に入れられるのは貴族階級などの上層階級に限られ、一般の人々には到底手が届かない品物だった。
加えて、当時の「写本」は羊皮紙に書かれることが多く、手作業での作業だったため、作成には多大な時間と材料面での多大な費用が必要だった。
この費用の高さが余計に「写本」の費用を高くしてしまい、書物を手にいれることを難しくしていた。
そのため、中世末期の1445年ドイツ生まれのグーテンベルクが活版印刷を発明したことで中世ヨーロッパの印刷事情は一変することになった。
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グーテンベルクの活版印刷の登場と革新
中世末期、1445年ドイツ生まれのグーテンベルクが発明した活版印刷は、手書きの「写本」から脱却するための大きな飛躍をもたらした。
グーテンベルクが活版印刷を発明するまでは、「写本」は主に修道院や教会などで作られ、書き写すための専門職人の書写者が働いていた。
12世紀以降、各地に大学が発展していくと、注文で請け負って写本する都市の写本工房等も登場した。
しかし、手書きでの「写本」は時間と費用が多大にかかるため、年間を通じて作られる書籍の数も非常に限られたものになっていた。
その反面、グーテンベルクの活版印刷は、文字を一つずつ刻んだ鉛製の活字を組み合わせ、一度に多数の同じテキストを印刷することができる方法だったため、文字や絵画の作成と印刷を分離することができた。
活版印刷による比較的容易に多数の書物を作ることが可能となったことで知識の普及が進むこととなり、中世文化と情報革命に大きく影響を与えることなった。
グーテンベルクの活版印刷を発明したことで、中世ヨーロッパは事実上の大量生産の時代へ突入し、一般の人々にも書物が手に入れられるようになると情報や知識の交換が促進されることとなった。
この影響は、後の時代において宗教改革、啓蒙時代、ルネサンスなどの多くの文化的・知的な改革が起こる要因となった。
グーテンベルクの活版印刷の問題点
しかし、グーテンベルクの活版印刷の導入に関してはいくつかの問題があった。
- 印刷するための大量の紙が必要
- 活版印刷を行うための設備における初期投資が必要
- 活版印刷の設備を動かすための専門的な知識が必要
これらの問題は印刷を行う出版業者にとって大きな障壁となった。
その主な理由としては、以下のようなことであった。
グーテンベルクの活版印刷によって、書物が大量生産されるようになると中世末期において未熟だった紙の生産技術では、活版印刷にて消費される紙の量を生産することができない問題が発生したことで、紙自体を入荷できないことがあった。
当時のヨーロッパでは、羊皮紙が一般的であったために紙の生産技術というのは遅れていた。
しかし、活版印刷の登場で、容易に印刷が可能になるとコスト面から高価な羊皮紙を使うのではなく、安価な紙を主な材料としたことで需要が一気に増え、供給が追いつかない問題が発生した。
また、当時としては最新技術であったグーテンベルクの活版印刷の設備は導入するだけでも大変だった。
先ほども述べたように、活版印刷は文字一つずつを鉛製の活字を組み合わせて印刷する方法だったため、最低でもアルファベットで26文字の鉛製の文字が必要だった。
加えて、当時の書式では、1文字目は大きいことがあったため、サイズの違う種類を用意しなければならないなど設備の課題もあった。
最後に、活版印刷の設備を整え、紙も大量に入荷できた場合であっても、当時では最新式の機械を動かす専門的な知識を持つ人材を探すのは一苦労だった。
人材を新たに教育するにしても、印刷に必要な技術や知識を習得するには相当な時間と努力が必要だったため、専門的な知識を持たない人物が印刷業界に新規で参入することが難しくなってしまった。
まとめ
グーテンベルクの活版印刷の登場は、中世ヨーロッパにおいて革新的な変化をもたらし、文化や情報の発展に大きな影響を与えた。
そんなグーテンベルクの功績とは、情報革命に繋がる知識欲や啓蒙時代、ルネサンス、宗教改革などへの発展に大きく貢献したことだった。
そして、功績と貢献、影響は現代で生活する私たちの生活にとってもはや欠かせないものになっている。
最後に、活版印刷の技術を早期に中世ヨーロッパに持ち込んだ場合、どのような問題点があるのか。
また、その道筋はどうなのかということに対して、丁寧に描かれているアニメがあるため、気になる人がいたらぜひ見てほしい。
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